銀のアンカー、本編中のセリフ
白川:「キャリアアップ・・・」
「そんなものが本当に存在するんですかねぇ・・・」
高柳:「何をおっしゃりたいんですか」
白川:「公演の邪魔をしてすいません・・・どうぞ続けて下さい」
高柳:「何言ってるの」
「はじめは小さい会社でも、スキルを高め大企業に移る、終身雇用から流動化へ、これが労働環境の現代の常識でしょ」
白川:「その常識とやらを裏付ける客観的データはあるんですか?」
高柳:「え・・・」
白川:「本当に・・・中小企業から大企業へ」
「この流れを証明する実例がどれほどあるんですか?」
高柳:「じ・・・実例って」
白川:「日本で・・・いつごろ、誰が言い出したか知りませんが」
「キャリアアップという言葉ほど怪しげなものはありません」
「まるで階段を昇っていくが如く一段一段ステータスが上がっていくかのような錯覚を与えている」
「しかし、日本の今の社会にそんな階段はない!」
「なぜそう言っているのか、理由は日本の産業構造の『二重構造』」
「そもそも日本の経済市場は、一部の大企業がマーケットを牛耳っている」
「大多数の中小企業は大手の下請け孫受けの関係」
「つまり下請け孫請けの仕事で能力を磨いても、そこのレベルで止まってしまう。上にビルドアップしていくシステムそのものがないのだ」
「だから仕事の大命題である市場及び客の課題を解決するという部分は大手にしか出来ない」
聴衆:「ええ?」
白川:「この二重構造が顕著なのが情報処理IT関連広告業界など・・・」
「時代の先端を走り一見華やかそうだが、中身は前近代的で頑丈なピラミッド構造。絶対に上の壁を突き崩すことは出来ない」
「高柳社長、あなたの顧客には独立系の下請け企業が多いのではありませんか?」
高柳:「え?」
白川:「おそらく労働市場の流動化の波に乗り、多くの方を今、人手不足のIT業界に送り込んだことでしょう。」
「しかし、やはり下請けでは受注業務をこなすだけ」
「それでは、どんなシステムを作るのか考えて提案するプロジェクトリーダーにはなれないのです」
「本当に不足しているのはそのPLであるにもかかわらず」
「結局、日本の伝統的タテ社会はなんら変わらない」
「その中で職に就くとは、乗り換え不可能なエレベーターに乗るようなもの、どのドアを選べばどこまで上がるか」
「それをようく見極めるしかない」
「そういう現状をようく熟知しているにもかかわらず、転職を煽っているのでは?」
「もっとも、それによって企業から内定が出れば手数料が入るわけだから、あなたの会社の利益はどんどん上がるわけだが」
雑感
キャリアアップという言葉は有名で響きのいい言葉ではありますが、実際には中小企業でキャリアをつんで大企業へ・・・というのは非常に難しい。
そもそも中小企業は下請けで、大企業とやっている仕事事態が違うのだからIT業界などでキャリアップするなんてことは当然に厳しいのです。
大企業に入るには、大企業で経験を積んだ人か、新卒がほとんどというのが現状で、キャリアアップでいずれ大企業に入るから、と新卒や若いうちの転職を下積み感覚でいると、いつまでも這い上がれないでいる、という事も多いのです。
人材派遣などの会社は内定が出たときの手数料目当てで入社しやすい企業を進めてくることも多く、こちらの将来のことまで深くは考えてくれないと考え、企業をさがしてもらったり、アドバイスを受けるのはいいとしても、最終的に決めるのは自分なのです。

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